ECサイトのSEO監査は、サイト構造やページ、商品データなどを点検し、検索エンジンやAIが商品を発見し、関連性の高い検索に対して適切に表示できるかを確認する取り組みです。
SI企業のアイテック阪急阪神が自社ECサイトを運営するBtoCメーカー145社を対象に実施した調査では、「販促活動で早急に解決したい課題」の1位に「ブランドの認知度」、3位に「新規顧客獲得や集客方法(Web広告、SEOなど)」が挙げられました。ECサイトへの集客や認知度向上が課題となるなか、SEO監査によって検索上の問題点を洗い出し、改善につなげていくことが重要です。
本記事では、ECサイトのSEO監査の対象範囲、オン・オフページSEOのチェックリスト、SEO監査後の対応に優先順位をつける方法を紹介します。

ECサイトのSEO監査の対象範囲
ECサイトのSEO監査は、テクニカルSEO、オンページSEO、オフページSEOの3つに分けて考えることができます。SEOの内部対策にあたるのがテクニカルSEOとオンページSEO、外部対策がオフページSEOです。
テクニカルSEO
テクニカルSEOでは、検索エンジンがサイトに正しくアクセスし、必要なページをクロールしてインデックスできる状態になっているかを確認します。主な対象は、サイト構造、ナビゲーション、内部リンク、URL、ページネーション、メタデータ、構造化データ、モバイルを含むページのサイトスピード、JavaScriptによるレンダリングなどです。
オンページSEO
オンページSEOでは、商品ページやコレクションページなどのコンテンツがユーザーの検索意図に応え、適切なキーワードを使用しているかを確認します。また、商品情報と構造化データ、商品フィードの整合性など、商品データが適切に整理されているかどうかも監査の対象となります。
オフページSEO
オフページSEOでは、被リンクや外部サイトで商品名やブランド名が言及されるサイテーションなど、サイト外部からの評価を確認します。近年では従来の検索エンジンだけでなく、生成AIやAI検索で商品を発見、推薦してもらいやすくするGEO(生成エンジン最適化)やAEO(回答エンジン最適化)の観点も重要です。

Shopifyに標準搭載されたSEO機能
Shopifyには、ECサイトのSEOに必要な技術的な仕組みが標準で備わっています。サイトマップやカノニカルタグ、robots.txtの自動生成、SSLによるHTTPS対応に加え、商品情報を検索エンジンなどに伝えるための構造化データにも対応しているため、ユーザーはSEOの技術基盤を一から構築する必要はありません。また、サイトや商品の更新時にも多くの情報が自動で更新されます。
一方、どの検索キーワードを狙うか、商品やコレクションをどう構成するか、タイトルや商品説明に何を書くかといった判断は、ユーザー自身で行う必要があります。商品カテゴリーや属性などの情報を正しく登録し、必要に応じてURLのリダイレクトやインデックスの管理も重要です。また、顧客レビューや外部リンク、第三者による商品やブランドへの言及など、Shopifyの外での評価を高める取り組みもSEOにつながります。

オンページSEO監査のチェックリスト
オンページSEOは、テクニカルSEOとともに、ECサイト内部で行うSEO対策の重要な要素です。オンページSEO監査では、検索意図に合ったページが用意されているか、商品情報やタイトル、見出し、画像などが検索エンジンとユーザーの双方にわかりやすく設定されているかを確認します。
検索意図とキーワードの対応を確認する
検索クエリの背景には、商品を調べたい、比較したい、購入したいといったユーザーの検索意図があります。「ドレス」より「ロングドレス」、「黒のロングドレス」のように、具体的な検索ほどユーザーが求める商品や目的も明確になります。特に近年は、AIを活用した会話型検索の普及により、長く具体的なフレーズへの対応も重要になっています。
監査では、狙っているキーワードと、商品ページ、カテゴリーページ、商品ガイドなどの対応関係を確認します。同じ検索意図を持つ複数のページが同じキーワードで競合する「カニバリゼーション」が起きていないかもチェックしましょう。意図しないページが検索結果に表示されている場合は、各ページの役割やコンテンツを見直し、必要に応じてページの統合も検討します。
また、メーカーや仕入先から提供された商品説明をそのまま掲載している場合は、他のECサイトと同じ内容になっていないかも確認します。独自の商品情報を追加することで、ページの価値を高めることができます。
商品ページとカテゴリーページを確認する
商品ページやカテゴリーページでは、ページの内容が想定する検索意図に合っているかを確認します。商品名や価格、在庫状況といった基本情報だけでなく、仕様、サイズ、素材、特徴、使用方法やお手入れ方法など、購入判断に必要な情報が十分に掲載されているかもチェックしましょう。
商品ページでは、特に次の項目を確認します。
- タイトルや説明が商品固有の内容になっているか
- 特徴やメリットがわかりやすく伝わるか
- 価格、在庫状況、サイズや素材など、購入に必要な情報が揃っているか
- カテゴリーや属性が適切に設定されているか
- 販売終了商品への内部リンクや不要なURLが残っていないか
カテゴリーページでは、タイトルや説明、掲載商品が検索キーワードや検索意図と一致しているかを確認します。似た商品構成のカテゴリーページが複数存在していないか、重要なカテゴリーページへメニューや関連ページなどから内部リンクが張られているかも監査対象です。
検索データも確認し、実際の検索語とページの内容にずれがあれば、タイトルや説明の変更、新しいカテゴリーページの作成などを検討します。
タイトル、メタディスクリプション、見出しを確認する
商品数の多いECサイトでは、商品情報をカタログとして管理し、共通テンプレートで表示するのが一般的です。そのため、一部の設定やテンプレートに問題があると、多数のページでタイトルや説明が重複することがあります。個々のページだけでなく、カタログ全体を横断して確認することが重要です。
タイトルタグ、メタディスクリプション、ページ内の見出しには、それぞれ異なる役割があります。監査では、これらをまとめて確認しましょう。
- タイトルタグやメタディスクリプションの欠落、重複がないか
- 商品名や色など一部分だけが異なる、ほぼ同じタイトルが大量に生成されていないか
- 重要なページに内容を適切に表す固有のタイトルとメタディスクリプションが設定されているか
- H1がページの主題と検索意図を適切に表しているか
- H1の欠落や不自然な複数設定がないか
- H2やH3が商品仕様、サイズ、素材、FAQなどの内容を論理的に整理しているか
見出しはデザイン目的ではなく、ページの情報構造を示すために使用します。タイトルタグとH1は同じ文章である必要はありませんが、同じ検索意図とページ内容を表していることが重要です。
画像の代替テキストとファイル名を確認する
画像の代替テキスト(alt属性)は、視覚障害者向けの音声読み上げや検索エンジンによる画像の理解を助けます。ファイル名も、画像の内容を検索エンジンに伝える補助的な情報になります。
画像については、次のような点を確認します。
- 主要な商品画像に適切な代替テキストが設定されているか
- 代替テキストが画像の内容を簡潔かつ正確に説明しているか
- キーワードの過剰な詰め込みがないか
- 「IMG_4827.jpg」のような意味のないファイル名が大量に使われていないか
- 商品名、色、撮影方向などを用いたわかりやすい命名ルールになっているか
商品数が多いECサイトでは、すべての画像を一つずつ確認するだけでは効率的ではありません。主要な商品やアクセスの多いページを優先しつつ、代替テキストやファイル名をどのようなルールで設定しているかを確認し、カタログ全体での問題の重複を監査しましょう。

オフページSEO監査のチェックリスト
ECサイト内の商品情報やコンテンツは、検索エンジンに「何を販売しているサイトなのか」を伝えます。一方、オフページSEOでは、外部リンクや口コミ、レビュー、SNSでの言及などを通じて、商品やブランドが第三者からどのように評価されているかを確認します。
被リンクの質とリンク切れを確認する
バックリンク(被リンク)は、外部サイトから自社のECサイトへ張られたリンクです。監査では、どのようなサイトからリンクされているか、リンクがトップページだけに集中していないか、主要な商品ページやカテゴリーページにもリンクが集まっているかを確認します。
被リンクは数だけでなく質も重要です。自社の商品や業界と関連性が高く、信頼性のあるメディアやウェブサイトから自然に紹介されているか確認しましょう。リンクに使用されているアンカーテキストに不自然な偏りがないかも監査対象となります。
また、外部からリンクされているページを削除したりURLを変更したりすると、価値のある被リンクが404エラーなどによって失われることがあります。販売終了商品、終了したキャンペーン、移転したコンテンツなどへの被リンクを確認し、関連ページへのリダイレクトを検討します。
ブランドへの言及や第三者からの評価を確認する
現在では、検索エンジンだけでなく、生成AIやSNSも商品を発見、比較するための重要な接点になっています。デロイトトーマツの2026年度調査では、20代の35.0%が商品やサービスの情報収集にAIを利用しており、購買時の情報収集や比較検討へのAI活用が進んでいます。また、THECOO(ザクー)による「SNS時代の購買行動に関する調査」では、20代の58.6%がSNSで商品を知ってから1週間以内に購入しています。AIやSNS上での商品やブランドの露出は、集客や購買に関わる重要な要素になっています。
監査では、次のような点を確認します。
- ブランド名や主要商品名に「口コミ」「比較」「ランキング」などを組み合わせて検索し、第三者サイトでどのように紹介されているか
- ブログ、比較サイト、SNS、マーケットプレイスなどに、旧価格や旧仕様、販売終了商品などの誤った情報が残っていないか
- レビューや口コミの内容と評価に大きな問題がないか
- ChatGPTやGeminiなどの生成AIで関連商品について質問したとき、自社の商品やブランドが候補として挙がるか、また正確な情報が示されるか
第三者サイトに重要な誤りがある場合、可能な範囲で掲載元への修正依頼などを検討します。生成AIについても回答に揺らぎがあるため、順位測定ではなく、自社に紐づく情報源や文脈の把握を目的に確認します。
外部チャネルでの商品情報を確認する
ECサイトの商品は、自社サイトだけでなく検索エンジンやAI検索、SNS、アフィリエイトやクリエイターとのコラボレーションなど、さまざまな外部チャネルを通じて発見されます。利用しているチャネルを洗い出し、商品情報やリンクが正しく連携されているかを確認しましょう。
アフィリエイトやクリエイターとの提携では、リンクやクーポンの有効性や販売終了商品や変更前のURLへの誘導がないかを確認します。Googleショッピングなどに商品を掲載している場合は、商品フィードが正しく連携され、価格や在庫状況などの情報がECサイトと一致しているかもチェックします。
実店舗やサービス提供地域を持つ事業者では、Googleビジネスプロフィールなどに掲載された店舗名、住所、営業時間、連絡先、写真などが最新かどうかも確認します。ECサイトと外部サービスで店舗情報の不一致がないことも重要です。

SEO監査後の対応に優先順位をつける
SEO監査で複数の問題が見つかった場合、すべてを同時に修正するのではなく、SEOや売上への影響と緊急性を考慮して対応の優先順位を決めます。
SEO改善の優先順位を決める8項目
以下は、EC専門家がAIエージェントへの対応を想定して整理した8つの項目です。検索エンジンとAIによる商品検索には、正確で構造化された商品情報を必要とするなど共通する要素が多く、SEO監査後の対応に優先順位をつける際にも参考にできます。
|
対応フェーズ |
重要性 |
監査項目 |
対応の緊急性 |
|
商品データの確認と不備の修正 |
最高 |
商品ページとカテゴリーページ |
至急 |
|
商品属性などの構造化された情報の整備 |
最高 |
商品ページとカテゴリーページ |
至急 |
|
構造化データの確認と修正 |
高 |
構造化データ |
早期 |
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商品フィードとAIサービスへの連携 |
最高 |
外部チャネルでの商品情報 |
必要に応じて対応 |
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価格や在庫などの商品情報の正確性 |
最高 |
商品ページ、構造化データ、外部チャネルでの商品情報 |
至急 |
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海外市場への対応 |
高 |
海外向けサイトのSEO設定 |
できるだけ早期 |
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GEO(生成エンジン最適化) |
高 |
ブランドへの言及や第三者からの評価 |
早期 |
|
テストとモニタリング |
高 |
検索パフォーマンス、外部チャネル、生成AIでの表示状況 |
継続的 |
アクセス解析とGoogle Search Consoleで優先順位を決める
SEO上の重要性だけでなく、実際のアクセスや売上への影響度を加味して優先順位を決めましょう。Google Search Consoleでは、ページごとの表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位などを確認できます。ECサイトのアクセス解析では、同じページのセッション数、コンバージョン率、売上などを確認します。
例えば、売上貢献度が大きいにもかかわらずオーガニックトラフィックが減少しているページは、優先的な改善対象です。また、検索結果での表示回数が多いのにCTRが低く、訪問後のコンバージョン率が高いページでは、タイトルやメタディスクリプションに改善の余地がないか確認するとよいでしょう。
対策前の数値を記録しておき、検索エンジンによる再クロール後に同じ指標を比較することで、改善効果が確認できます。Search Consoleとアクセス解析では指標の計測方法が異なるため、両者の数値のずれを一致させようとするのではなく、対策前後で増減の傾向を比較することが重要です。
まとめ
ECサイトのSEO監査では、検索意図に合ったページや商品情報が用意されているか、タイトルや画像などが適切に設定されているかといったオンページSEOに加え、被リンクや口コミ、第三者からの評価などのオフページSEOも確認します。さらに、検索エンジンだけでなく、生成AIやSNSなどを通じて商品やブランドがどのように発見され、評価されているかを把握することも重要です。
監査で問題を洗い出したら、検索流入や売上への影響、対応の緊急性などを考慮して優先順位を決め、改善につなげましょう。定期的なSEO監査の運用により、ECサイトの課題や変化をタイムリーに把握し、継続的なSEO改善につなげることができます。




