パララックスとは、スクロールに合わせて背景や前景の要素を異なる速度で動かし、ウェブサイトに奥行きや動きを加える視覚効果です。
EC市場の競争が激しくなる中、ユーザーが快適にサイトを閲覧でき、商品の魅力やブランドの世界観を伝えられるECサイトのUXデザインの重要性が高まっています。パララックスを取り入れることで、スクロールに合わせて視線を誘導し、商品の特徴やブランドの世界観を効果的に見せられます。
本記事では、パララックスの仕組みやShopifyでの導入方法、実際の活用事例、自社サイトに取り入れる際のポイントを解説します。

パララックスとは
パララックスとは、ウェブページ上の背景や前景の要素を異なる速度で動かし、奥行きを表現するデザイン手法です。スクロールに合わせて要素の動きに差をつけることで、平面の画面でも立体的に見せられます。
一般的なウェブページでは、コンテンツをスクロールすると各要素が同じように画面上を移動します。一方、パララックスでは、背景や画像、テキストなどの動き方を変えることで、ページに動きや立体感を加えます。
パララックスの考え方は、1930年代の映画で使われた「マルチプレーンカメラ」というアニメーション技法にヒントを得たものです。また、初期のコンピューターゲームでも、背景とキャラクターを異なる速度で動かして奥行きを表現する手法が使われていました。
現在では、こうした視覚効果がウェブデザインにも取り入れられ、ユーザーの視線を誘導したり、コンテンツを印象的に見せたりする表現として活用されています。

パララックスの仕組み
パララックスは、近くのものほど速く、遠くのものほどゆっくり動いて見えるという人の視覚特性を応用した仕組みです。実際には同じ画面上にある要素でも、スクロール時の動きに差をつけることで、それぞれが異なる距離にあるように感じられます。
ウェブページでは、背景画像をゆっくり動かしたり固定したりしながら、その手前にあるテキストや画像を動かすことで奥行きを作ります。背景には、画面に表示される範囲(ビューポート)より大きな画像を使うこともあり、スクロールに合わせて少しずつ動かすことで遠景のような印象を与えられます。
たとえば、遠くの滑走路へ向かう飛行機が、近くの車よりゆっくり動いて見えることがあります。パララックスでは、このような見え方をウェブページ上で表現します。
要素ごとの動き方を変えることで、平面的な画面でも奥行きが生まれ、ユーザーはコンテンツ同士の距離感を自然に感じられます。

パララックスをウェブサイトに追加する方法
パララックスをウェブサイトに実装するには、対応テーマを利用する方法と、コードを編集する方法の2つがあります。ここでは、Shopifyストアへの導入方法と、実装後の確認ポイントを紹介します。
パララックスに対応したテーマを使用する
HTMLやCSSのコーディングに慣れていない場合は、パララックスに対応したShopifyテーマを利用すると手軽に導入できます。たとえば、Out of the Sandbox(アウトオブザサンドボックス) の「Parallax」(英語)テーマでは、デモストアでパララックス効果を体験できます。
テーマを追加したら、Shopifyの管理画面でパララックスやアニメーションに関する設定項目を確認し、利用できる機能を調整します。テーマによっては、特定のセクションだけにパララックス効果を適用できる場合もあります。
コードを編集してパララックスを追加する
プログラミングの知識があり、より細かくカスタマイズしたい場合は、コードを編集してパララックスを追加する方法もあります。また、ウェブデザイナーに依頼して実装することも可能です。
まず、パララックスを適用する場所を決めます。商品紹介エリアやヒーローバナーなど、視線を集めたいセクションが候補になります。次に、背景と前景に使用する画像を用意します。十分な画質を保ちつつ、ウェブ表示に適したサイズや容量に最適化しましょう。
コードスニペット(再利用できるコードの一部)は、CodePen(コードペン) などで探せます。パララックスに関連するコードを見つけたら、テーマのHTMLやCSSに組み込み、レイアウトに合わせて調整します。
実装後の動作や表示を確認する
テーマをカスタマイズしたりコードスニペットを追加したりした場合は、現在使用しているテーマとの互換性を確認し、テストしましょう。画面サイズやデバイスが異なってもパララックスが正常に動作するか、スマートフォンなどのモバイル端末でも意図したとおりに表示されるかを確認します。 UIデザインが崩れていないか、テキストやボタンなどの操作要素が見づらくなっていないかもチェックすることが重要です。
あわせて、画像の読み込み速度にも注意が必要です。読み込みが遅いとページ全体の表示速度が低下し、パララックスの効果を十分に生かせない可能性があります。画像のサイズ調整や圧縮など、表示速度を高めるための最適化を行いましょう。
また、パララックスはユーザーの視線を引きつけ、コンテンツへの関心を高められる一方、多用するとページが複雑になり、見づらくなることがあります。そのため、ページ全体に一律で適用するのではなく、ヒーローバナーなど、特に注目してほしいエリアに絞って使い、ページ全体のデザインとのバランスを考えることが重要です。
パララックスの事例
パララックスを自社サイトに取り入れる際は、実際の事例を確認すると具体的な活用イメージをつかめます。動きの表現だけでなく、視線誘導や操作性、デザインとの組み合わせ方にも注目すると、自社サイトへの適性や活用方法を判断しやすくなります。
KINTO
テーブルウェアやドリンクウェア、インテリアなどを展開するライフスタイルブランドKINTO(キントー)のECサイトです。商品の機能性だけでなく、日常に寄り添うブランドの世界観も紹介しています。
ページではパララックスを取り入れ、スクロールに合わせて画像やコンテンツが動くことで、静的なレイアウトに奥行きと動きを加えています。ビジュアルとテキストを組み合わせ、商品の魅力やブランドのこだわりを印象的に伝えています。
SERIOUS CERAMIC
聖和セラミックスが展開するタイルブランド「SERIOUS CERAMIC(本気のタイル)」のECサイトです。タイルの商品情報を紹介しながら、素材やデザインの魅力を視覚的に伝えています。パララックスを取り入れ、動きのある表現で商品を紹介しています。
ページではスクロールに合わせて画像やコンテンツの位置が変化し、タイルの質感やデザインを印象的に見せています。複数のビジュアルを組み合わせながら商品を紹介することで、素材の質感やデザインの魅力を印象的に伝えています。
VERMILLION
ジュエリーブランド「VERMILLION(ヴァーミリオン)」のECサイトです。ジュエリーの商品情報を紹介しながら、モチーフに込められた意味やブランドのストーリーを視覚的に伝えています。パララックスを取り入れ、動きのある表現で商品やブランドの魅力を紹介しています。
ページではスクロールに合わせて画像やコンテンツが変化し、ジュエリーのデザインやモチーフを印象的に見せています。複数のビジュアルとストーリーを組み合わせながら商品を紹介することで、身に付けたときのイメージとジュエリーそのものの魅力を伝えています。
まとめ
パララックスは、背景や前景の要素を異なる速度で動かすことで、ウェブページに奥行きや動きを生み出すデザイン手法です。スクロールに合わせて視線を誘導しやすく、商品の訴求やブランドの世界観を伝える際にも活用できます。ユーザーがコンテンツを楽しみながら閲覧でき、顧客体験の向上も期待できます。
一方で、多用するとページが複雑になり、操作性や表示速度に影響する可能性があります。導入する際は、サイト全体に一律で適用するのではなく、商品の特徴を見せたいセクションやブランドの世界観を伝えたいページなど、目的に応じて取り入れることが重要です。
実際の事例を参考に、商品の見せ方やユーザーの視線誘導、UIデザインとのバランスを踏まえ、自社サイトに適した表現を検討しましょう。
パララックスに関するよくある質問
パララックスにはどのような効果がある?
パララックスは、背景や前景の要素を異なる速度で動かし、ウェブページに奥行きや動きを加える手法です。スクロールに合わせて要素が変化するため、平面的な画面でも立体感を演出でき、コンテンツを印象的に見せられます。
Shopifyのウェブサイトにパララックスを追加できる?
追加できます。パララックスに対応したテーマを利用するほか、テーマコードの編集やコードスニペットの追加でも実装できます。ただし、モバイル端末での操作性や表示速度への影響を確認しながら導入することが重要です。
パララックスがウェブデザインで活用される理由は?
スクロールに合わせて要素が動くため、ユーザーの視線を誘導しやすく、ページを読み進めるきっかけを作れます。また、複数の要素を段階的に見せることで、ブランドの世界観や商品の特徴を印象的に伝えられる点も、活用される理由の一つです。
パララックスを実装する方法は?
- パララックスに対応したテーマを利用する
- テーマのコードを編集して追加する
- コードスニペットを活用する
- ウェブデザイナーなどに実装を依頼する




